コスト高に負けない!支援策を活用する経営計画3ステップ
本格的な夏の暑さが近づく季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。最近、岐阜県内の中小企業様からも「燃料費や原材料の価格が上がって先行きが不安だ」「仕入れルートが不安定で、今後の見通しが立たない」といった切実なお声を聞く機会が増えています。
こうした変化の激しい状況のなかで、経営者様とお話ししていると、「これだけ先が見えない状態では、何を基準に計画を立てたら良いか分からない。今はその都度、流動的に対応していくしかないんだ。」という声がしばしば聞かれます。
確かに、明日の状況すら予測しづらい状況のなかで、固定された計画を作ることは難しく感じられるかもしれません。しかし、こうした時だからこそ、一歩先へ進むための「羅針盤」として、そして変化の波に柔軟に対応するための「軸」として、あらかじめ計画を立てておくことがとても重要になってきます。軸があるからこそ、状況がどう変わったのかを正しく測り、次の一手を素早く決めることができるようになります。
今回は、国や省庁が発表している最新の支援動向に目を向けながら、この苦しい経営環境を前向きに乗り越え、自社の確かな軸をつくるための具体的なステップを、皆様と一緒に考えてみたいと思います。
経営安定を後押しするセーフティネット等の支援策強化
昨今の緊迫する中東情勢などの影響により、エネルギーコストの高騰や原材料の調達難といった問題が、多くの中小企業の経営を圧迫しています。これは一企業の努力だけで解決できる問題ではなく、特に製造業や輸送業などが盛んな地域においては、サプライチェーン全体に大きな影を落としています。
経済産業省・中小企業庁における支援策
こうした不測の事態に直面している中小企業・小規模事業者を守るため、国や省庁ではさまざまな情報提供や相談窓口の設置といった支援の動きを急速に強めています。
特に経済産業省・中小企業庁では、認定経営革新等支援機関等を通じて支援策の周知を進めています。
出典:経済産業省・中小企業庁 「中東情勢の影響でお困りの 中小企業・小規模事業者のみなさまへ」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/kokusai_josei/dl/shien.pdf
このように、関係省庁の窓口では、燃料油・石油製品の調達難やコスト高騰によって事業継続に影響を受けている中小企業を対象に、資金繰りの安定化を図るための相談受付や、セーフティネット保証などの融資制度に関する情報提供を随時行っています。
各種支援策を利用するにあたって
これらの施策は、単に「資金が苦しくなってから駆け込む」ものではなく、「収支計画のシミュレーション」に基づき、「万が一、最も厳しいシナリオになった場合はこの制度をどのように組み合わせるか」という前向きな防衛策として事前に検討しておくことに大きな意味があります。
情報提供窓口を通じて一次情報を正しく集め、専門家のアドバイスを受けながら自社の計画に組み込んでおくことで、不測の事態が起きても動じない安心感を確保し、次の前向きな一歩へと集中できるようになります。
激変期を乗り越える!経営計画を見直す3つのステップ
国がこれだけ迅速に対策窓口を一本化し、発信を行っているということは、それだけ現在の外部環境の変動が大きく、多くの企業に影響が及んでいることを示しています。だからこそ、経営者が一人で悩みを抱え込むのではなく、こうした公的支援を上手に頼りながら、自社の「経営計画」を前向きにブラッシュアップしていくことが求められます。
先が見えない時代だからこそ、変動を予測した計画をあらかじめ用意し、変化への対応を考えるための「軸」をつくる3つのステップをご紹介します。
ステップ1:自社リスクの客観的な棚卸し
最初のステップは、現在の自社への影響を正しく知ることです。先述した国のワンストップ窓口や相談窓口なども活用しながら、「燃料費が数割上がったら自社の利益にどう影響するか」「仕入れが滞った場合、どの部分がボトルネックになるか」といったリスクを客観的に洗い出してみることをおすすめします。
漠然とした不安を抱えるのではなく、数数値や具体的な事象としてリスクを棚卸しすることで、次に打つべき対策の優先順位が驚くほど見えやすくなります。
外部の協力者に対して説明をすると、社内での相談よりも具体的に詳細を説明することになります。そうすることで、今までつながっていなかった情報がつながったり、新たな自社の強みやできそうなことが閃いたりします。
支援をする中でも、話をしているうちにそうしたことに気が付き、経営者様の表情がパッと表情が明るくなることが多くあります。まずは、モヤモヤした状況を誰かに話をしてみるだけでも客観的な棚卸しが進むと実感しています。
ステップ2:投資対効果を見極める収支計画のシミュレーション
リスクが明確になったら、次はそれを織り込んだ「収支計画」のシミュレーションを行います。これからの時代は、「おそらくこうなるだろう」という1つの予測だけで計画を立てることはリスクを伴います。
「現状のコストが維持された場合」「さらに数%高騰した場合」など、いくつかのシナリオを想定し、それぞれの投資対効果や収支がどう変化するかを事前に計算します。これにより、いざ環境が急変した際にも、あわてずに高度な経営判断を下すための確かな基準(軸)を手に入れることができます。
やり方としては、まずは今のままだとどうなるかを見てみます。そこからどのように改善していくと良いかの方向性を見付けていきます。売上高を増やすのか、コストを下げるのかといったざっくりした方向性を決めて、細かな課題へと落としていきます。そして、外部環境の変化から発生するリスクを捉え、収支計画のどこに影響するか、どれくらいの影響があるかの仮説を立てて数字を変えて見ていくことで、どう備えると良さそうかといった課題を考えることができます。
ステップ3:見直した計画の社内共有とマネジメント層への相談
計画をブラッシュアップしたら、それを経営陣の中だけで完結させず、次世代の幹部候補である現場のマネジメント層(管理職)にしっかりと共有し、相談の場を設けることが大切です。
会社の新しい方針やコストの現状、そして「こういう軸で動いていく」というビジョンをミドル層と共有することで、現場のリーダーたちにも経営目線が育ち始めます。不測の事態が起きたとき、経営者が一人で指示を出すのではなく、現場が共通の軸を持って自発的に対策を考えて動けるような「自走する組織」の土台が、この計画共有のプロセスから作られていきます。
これまでの支援の中で、この計画段階での参画の重要性を特に感じます。自分が考えた計画を実行することは「自分ごと」になりやすいですが、経営層から指示されただけの計画は「他人ごと」になりやすいものです。そして後者の場合、上手くいかなければ「こうすれば良いのに考えが足りない」とか「俺はダメだと思ってた」といった評論家的な立場で、話をする社員の様子を見ることもありました。一緒に計画を作ることで、同じ方向を向いた同士として管理職が協力してくれる組織にしていくことが、変化に強い企業となる上で大切になります。
今月のトピックス:流動化する国際情勢と中小企業を支える国の最新動向
今回のコラムで取り上げた各種支援窓口をご紹介いたします。
こうした支援サイトでは、市場動向の情報収集や検討の仕方やツールの紹介など、無料相談の窓口以外にも活用できる情報があります。
経済産業省が設置したワンストップポータルの概要
経済産業省では、国際情勢の流動化に伴って事業継続に影響を受けている、または受ける恐れがある事業者の皆様に向けて、情報を一元的に確認できる特設ページを開設しています。
出典:経済産業省「中東情勢関連対策ワンストップポータル」
https://www.meti.go.jp/chuto_josei/
このポータルサイトでは、国や各省庁が実施している中小企業向けの支援策全般が分かりやすく網羅されており、経営の安定を図るためのさまざまなヒントが提示されています。
中小企業庁による事業者向け支援窓口の設置
また、中小企業庁においても、中東情勢等を踏まえた具体的な支援策を掲載し、事業者の皆様からの相談に応じる体制を整えています。
出典:中小企業庁「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援」 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/kokusai_josei/
ここには、コスト高騰や資金繰りに悩む中小企業が活用できる公的な融資制度や、経営相談に関する最新情報が随時アップデートされています。
資源エネルギー庁などの情報提供窓口
さらに、燃料油や石油関連製品の調達が困難になり、具体的な事業継続に支障が生じている場合を想定し、関係省庁による情報提供窓口も設置されています。
出典:資源エネルギー庁「中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/energysecurity/index.html
お困りの事業者の皆様が、それぞれの事業所管省庁の窓口に直接連絡し、必要な情報やアドバイスを受けられる仕組みが整えられています。こうした公的な動きをいち早くキャッチし、自社の味方に付けていくことが、激変期を生き抜く重要な鍵となります。
※ 本コラムに掲載している補助金・支援策情報は2026年7月時点のものです。支援の要件や公募期間、窓口の取扱ルールは随時更新されるため、申請やご相談の際は必ず各省庁や事務局が発行する最新の公募要領・案内をご確認ください。
まとめ
今回は、中東情勢をはじめとする国際情勢の流動化に対し、国の最新の支援動向を捉えながら、変化の激しい時代を生き抜くための「経営計画の見直し法」について考えてきました。
先行きが見えない苦しい時期だからこそ、その場しのぎの対応にとどまらず、自社のリスクを棚卸しし、変化に対応するための「軸」となる収支計画を立てておくことが、他社との大きな差別化と持続的な成長を実現するための力強い一歩になります。
まずは、はじめの一歩として、ここ数ヶ月の燃料費や原材料費の推移を、過去のデータと並べて客観的に眺めてみることから始めてみませんか。売上やコストの動きを数字で丁寧に追ってみることで、自社が今どこに立っているのか、そして次にどのような準備をしておくべきかという、前向きなビジョンのヒントが見えてくると思います。
環境の変化を恐れることなく、未来に向けた計画を一緒に形にしていき、強固な経営基盤を構築していきましょう。
当社サービスの紹介
ハーツ株式会社では、企業の方向性と連動した一貫性のある「全体支援」をはじめ、企業の持続的成長に伴走する各種サービスを提供しています。
計画策定支援
中期経営計画や年度方針、新事業戦略の立案など、リスクと成長性を整理。投資対効果を含む具体的な収支計画を立案し、高度な経営判断をサポートします。社外からの客観的な視点により多面的な評価が行えるため、セカンドオピニオンとしても有用です。
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管理職に必要なマネジメントスキルと自分自身の幸せについて考える、各社の状況に合わせたテーラーメイド型の教育プログラムです。「楽しく学び、成長すること」を大切に、コンサルティングとコーチングによるアプローチを取り入れ、グループワークを通じて社内の関係性向上にも寄与します。自組織の環境を題材(ケーススタディ)とした実践的なシミュレーションが行える仕組みを構築しています。
- 【基礎編】 目標と計画の策定: 1年間の活動計画を立て、組織全体で動ける体制を構築。
- 【応用編】 計画に沿った組織の管理と成長: 組織変革に取組み、高い成果を出すスキルを磨く。
- 【飛躍編】 組織や事業の戦略立案: 中期的な戦略手法を学び、次世代の経営幹部の土台を構築。
仕組みづくり支援
定性的な情報を具体化し、社内のノウハウの蓄積を図り、競争力を強化。「自分たちで作った仕組みでなければ運用されない」という原則のもと、現場に定着する強固な基盤を構築します。社内プロジェクト型での支援を通じて、推進担当者へのフォローなど、新たなプロジェクト推進の方法を体系的に学べる機会となっています。
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