新しい補助金の公募開始!従来の補助金との違いについて

本格的な夏の暑さが近づく季節となりましたが、経営者や幹部の皆様、いかがお過ごしでしょうか。岐阜県内の中小企業様からも「今の事業1本だけでなく新たな事業の柱を持ちたい」「今の事業の先行きが不透明なので、リスク分散を図りたい」といったお声が増えてきました。

こうした中、2026年6月末、中小企業庁より非常に大きなニュースが発表されました 。これまでの「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」がひとつに統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として、第1回公募がスタートしています。

国の政策がこれだけ大きく舵を切ったということは、それだけ「既存のやり方にとどまらず、新しい市場や高付加価値な事業へ挑戦する企業に対して、国を挙げて応援する」という強いメッセージでもあります。今回は、この新しく誕生した補助金の注目ポイントに触れながら、激変期を前向きに乗り越えるための経営計画の立て方について、皆様と一緒に考えてみたいと思います。

1. 「新事業進出ものづくり補助金」2つの注目ポイント

今回の新しい補助金は、完全にゼロから作られたものではなく、これまでの使い慣れた補助金の良い内容がしっかりと踏襲されています 。その上で、時代に合わせたアップデートが行われているのが特徴です。

注目ポイント①:各申請枠と従来補助金の関係(引き継がれた内容)

新補助金には大きく3つの申請枠が用意されていますが、これらは従来の補助金と以下のように対応しています。

「革新的新製品・サービス枠」

従来の「ものづくり補助金」の性質を色濃く受け継いでおり、自社の技術力を活かした革新的な試作開発やサービス開発を支援します。

「新事業進出枠」

従来の「新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金など)」の流れを汲み、既存事業とは異なる新しい市場や高付加価値事業への進出を広くサポートします。

「グローバル枠」

こちらも従来通り、海外販路開拓や輸出体制の強化といった世界に挑む投資をバックアップしてくれます。

注目ポイント②:従来からの「主な変化点」の整理

最も大きな変化は、補助金をもらうための必須の基本要件(義務)として、これまで以上に高い目標が設定された点です。

例えば、従来のものづくり補助金では、付加価値額の年平均成長率目標は3.0%以上でしたが、本補助金では4.0%に引き上げられました。また、従業員規模にかかわらない「ワークライフバランス要件(一般事業主行動計画の公表)」の必須化や、「子育て等に関する職場環境整備」に向けた取り組み(ライフデザインサービスの活用等)が新設されています。

また、「グローバル枠」において、従来のものづくり補助金では、「海外への直接投資」「海外市場開拓(輸出)」「インバウンド対応」「海外企業との共同事業」の4つの類型での広い支援が行われていましたが、支援の対象が「海外市場開拓(輸出)に向けた、国内の輸出体制強化の取組」に一本化されました。そのため、従来対象だった海外拠点への直接投資や、インバウンド向けの事業などはグローバル枠の対象外となっていますので、ご注意ください。

2. 新補助金の申請で重視されているポイント

新しい補助金は、単に機械やシステムを導入するだけでは採択されません 。審査において特に重視されている各枠の要件と、全体での評価ポイントを整理しておきましょう。

各申請枠における「基本要件」のまとめ

革新的新製品・サービス枠

「業種内や地域において既に相当程度普及しているもの」の導入は対象外となり、顧客に新たな価値を提供する自社ならではの「革新性」が厳しく審査されます。

新事業進出枠

「過去に製造実績がない製品等であること(製品の新規性)」、かつ「既存事業で対象としていなかった新たなニーズ・属性を持つ顧客層を対象とすること(市場の新規性)」の2つを同時に満たす必要があります。

グローバル枠

1年以上の実現可能性調査の実施や、社内外での専門人材との連携、さらに具体的なマーケティング戦略の策定が必須要件となります。また「自発的」かつ「新たな市場」への輸出であることが必須になり、単に輸出を行うだけでは要件を満たさず、「攻めの輸出」であることが求められます

全体での評価ポイント(新市場性と高付加価値性)

新補助金の審査をクリアする(生きた事業計画にする)ための最大の鍵は、中小企業庁の審査手引きでも明記されている「新市場性」または「高付加価値性」のどちらかを、客観的なデータ・統計等を用いてどれだけロジカルに証明できるかにあります。

新市場性を証明する

自社が進出する製品等のジャンル・分野が、社会においてまだ一般的な普及度や認知度が低いものであることをデータで示します。

高付加価値性を証明する

そのジャンルにおける一般的な相場価格を調査・分析した上で、自社独自の強み(技術や知見)によって、いかに「高水準の高付加価値化・高価格化」を実現し、顧客から選ばれるかを示します。

3. 経営計画策定の3ステップ

これだけ要件が骨太になったからこそ、「補助金がもらえるから何か投資しよう」という下流の発想ではなく、自社の未来を見据えた「確かな計画の軸」から逆算して組み立てる3つのステップが有効です。

ステップ1:自社の経営資源の棚卸しと「新しい顧客」の特定

最初のステップは、自社の本当の強みを客観的に洗い出すことです 。その上で、「まだアプローチできていないけれど、自社の技術を応用すれば喜んでもらえる新しいニーズ(顧客層)はどこにあるか」を徹底的に考えます。モヤモヤした頭の中の定性情報を、誰かに話しながら言葉にしていく(言語化する)だけでも、驚くほど次の一手の優先順位が見えやすくなります。

ステップ2:投資対効果と「複数のシナリオ」を織り込んだ収支シミュレーション

進むべき方向性が見えたら、それを具体的な数字に落とし込みます。これからの時代は1つの予測だけで計画を立てるのではなく、「現状のコストが維持された場合」「投資によって固定費が上がった場合」など、いくつかのシナリオを想定して事前に計算しておくことが大切です。これにより、いざ環境が急変した際にも、あわてずに高度な経営判断を下せる「基準」が手に入ります。

ステップ3:計画段階からの現場(マネジメント層)の巻き込み

刷新した計画は、経営陣だけで完結させず、現場のリーダーである管理職層にしっかりと共有し、一緒に考える相談の場を設けることが成功の鍵を握ります。経営層から一方的に指示された計画は現場にとって「他人ごと」になりやすいですが、企画段階から参画してもらうことで「自分ごと」へと変わり、不測の事態が起きても現場が共通の軸を持って自発的に動ける「自走する組織」の土台が作られていきます。

今月のトピックス:前向きな挑戦を支える最新支援策

新事業進出ものづくり商業サービス補助金 第1回【申請締切:2026年10月30日】

 ※7月17日にスケジュールが1ヵ月後ろにずれましたので、ご注意ください。

補助金の目的

本補助金は、中小企業等が行う「技術的革新性のある製品・サービスの開発」や「既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出」「海外市場開拓」といった前向きな挑戦を後押しするものです 。企業規模の拡大や付加価値向上を通じて生産性を高め、最終的に「持続的な賃上げ」へと繋げていくことを本質的な目的としています。

利用検討のポイント

自社の従業員数に応じた「補助上限額」の把握

企業の規模(従業員数)によって、革新的枠は750万円〜2,500万円、新事業進出枠は2,500万円〜7,000万円と、細かく上限額が設定されています 。自社がどの規模に該当するかをまず確認しましょう。

年平均3.5%以上の「賃上げ計画」の策定と表明

事業計画期間中(3〜5年)、毎年「一人当たり給与支給総額」を年平均3.5%以上増加させる計画を立て、全従業員に表明・実行する必要があります 。目標が未達成の場合、未達成率に応じて補助金の返還義務が生じるハイリスクな要件ですので、無理のない収支計画が不可欠です 。

一般事業主行動計画の策定と「両立支援のひろば」への公表

ワークライフバランスの確保に向け、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し、国の指定サイトへ公表することが必須です 。公表手続きには「ご登録から、土日・祝日を除く4営業日以内で掲載しております。(繁忙期は異なる場合があります。)」となっております。補助金申請時期には登録が混みあうことが予想されますので、余裕を持って準備することが必要です。

原則「すべて後払い(精算払い)」による資金計画

補助金はつなぎ融資や自己資金で先に全額投資(支払い)を完了し、事業実施後に国から一部が補填される「精算払い」です。そのため、手元資金の確保や金融機関等との事前の資金繰り計画が絶対に欠かせません

補助金獲得のみを目的としない「自社主体の計画書」

実態とかけ離れた計画書や、他社の計画の流用(コピー)は不採択や採択取消の対象となります。外部支援者の助言を受けることは可能ですが、必ず「申請者自身が責任を持って主体的に作成すること」が厳格に定められています。

※ 本コラムに掲載している補助金・助成金情報は2026年7月1日時点のものです。補助金の要件や公募期間は随時更新されるため、申請の際は必ず各補助金の事務局が発行する最新の公募要領をご確認ください。

まとめ

今回は、新しく誕生した「新事業進出・ものづくり補助金」の動向を捉えながら、変化の激しい時代を生き抜くための経営計画の立て方について考えてきました。補助金の獲得だけを目的に無理な計画を立てるのではなく、会社全体の事業計画と美しく連動させていくことこそが、真に持続可能な成長(付加価値の創出)へと繋がっていきます。

当社サービスの紹介

ハーツ株式会社では、企業の方向性と連動した一貫性のある「全体支援」をはじめ、企業の持続的成長に伴走する各種サービスを提供しています。

計画策定支援

中期経営計画や年度方針、新事業戦略の立案など、リスクと成長性を整理。投資対効果を含む具体的な収支計画を立案し、高度な経営判断をサポートします。社外からの客観的な視点により多面的な評価が行えるため、セカンドオピニオンとしても有用です。

人材教育(マネジメント研修・コーチング)

管理職に必要なマネジメントスキルと自分自身の幸せについて考える、各社の状況に合わせたテーラーメイド型の教育プログラムです。「楽しく学び、成長すること」を大切に、コンサルティングとコーチングによるアプローチを取り入れ、グループワークを通じて社内の関係性向上にも寄与します。自組織の環境を題材(ケーススタディ)とした実践的なシミュレーションが行える仕組みを構築しています。

  • 【基礎編】 目標と計画の策定: 1年間の活動計画を立て、組織全体で動ける体制を構築。
  • 【応用編】 計画に沿った組織の管理と成長: 組織変革に取組み、高い成果を出すスキルを磨く。
  • 【飛躍編】 組織や事業の戦略立案: 中期的な戦略手法を学び、次世代の経営幹部の土台を構築。

仕組みづくり支援

定性的な情報を具体化し、社内のノウハウの蓄積を図り、競争力を強化。「自分たちで作った仕組みでなければ運用されない」という原則のもと、現場に定着する強固な基盤を構築します。社内プロジェクト型での支援を通じて、推進担当者へのフォローなど、新たなプロジェクト推進の方法を体系的に学べる機会となっています。

短期的な研修で終わらせず、目標設定から計画管理まで、貴社の経営課題に100%特化して徹底的に長期伴走する「企業伴走パッケージ」を各種ご用意しております。ぜひお気軽にご相談ください。