岐阜最低賃金1,121円へ!中小企業向け3つの成長戦略

朝夕は次第に涼しさを感じる季節となりましたが、経営者や幹部の皆様、いかがお過ごしでしょうか。

岐阜県の最低賃金は過去2番目の引き上げ幅となる56円で答申がされ、2026年10月より、時給1,121円に突入しようとしています。これだけ大きな変化が起きている状況下では、「また最低賃金が上がるのか」「人件費の負担が大きくて利益が残りにくい」といった声も増えてきそうです。

しかし、この大きな変化は、「その都度、場当たり的に対応していく」といった、これまでの会社のあり方を見直し、さらに強い組織へと生まれ変わるための絶好の機会でもあります。単なる「コスト増」として捉えるのではなく、どうすればスタッフがいきいきと働き、会社全体でより大きな価値を生み出せるのか。

今回は、賃金改定を機に企業の成長基盤を固めるための「3つの前向きな対策」について、最新の支援策の動向も交えながら皆さまと一緒に考えてみたいと思います。

岐阜最低賃金1,121円がもたらす組織への影響

人件費増加と社内バランスの変化

最低賃金の引き上げは、パートタイムやアルバイトスタッフの人件費増加という直接的な影響をもたらします。しかし、経営課題としてより深く考えるべきは「社内の給与バランスの変化」です。

最低賃金が上がることで、これまで長年貢献してきた中堅スタッフや正社員の給与水準と、新しく入社したスタッフの給与水準の差が縮まる現象が起きます。これが、既存スタッフのモチベーション低下や「頑張っても評価されないのでは」という不安を引き起こす要因になりかねません。数字上のコストだけでなく、こうした「人の心の動き」に目を向けることが重要です。

実際、いくつかの企業調査を行った結果、若手採用に力を入れる企業において、5~10年のリーダー層の退職が進むところがあります。平均勤続年数が短くなり、転職サイトにも上司が2年ごとに退職によって入れ替わるといった声の他、新卒時の待遇は他社よりも良くとも、その後の賃金アップが見込めないなどの不満を見かける企業が増加していると感じます。

変化を成長のきっかけと捉える視点

この状況を乗り越えるためには、対症療法的なコストカットではなく、より付加価値の高い事業への転換や、誰もが効率よく働ける環境づくりが求められます。

社外の市場リスクに目を向けることで、共通の敵のような認識を社内で有すると社内対立は自然と抑制され、一体感を持って解決に動くきっかけともなりやすいものです。

外部環境の変化はコントロールできませんが、社内の仕組みやチームのあり方は自分たちで変えることができます。今回の改定を「会社を次のステージへ引き上げるための起爆剤」と捉え、経営層と現場が一体となって組織をアップデートしていく視点を持つことが、持続的な成長への第一歩となります。

激変期を乗り越える!成長のための3つの対策ステップ

先が見えない時代だからこそ、人件費の上昇を予測した計画をあらかじめ用意し、変化への対応を考えるための「軸」をつくる3つのステップをご紹介します。

ステップ1:未来を見据えた事業計画と収益構造の見直し

最初のステップは、人件費の上昇を吸収するための収益構造の再シミュレーションです。単に商品の値上げ(価格転嫁)を行うだけでなく、「お客様に提供する付加価値をどう高めるか」をセットで考えなければなりません。

物価高騰分の値上げ交渉は非常に重要ですが、競争力低下の原因となり将来的な受注減少のきっかけともなります。明確な理由と合わせて、付加価値に目を向けた上での判断が重要です。

また、自社の強みは何か、どの事業分野にリソースを集中すべきか。感覚に頼るのではなく、中期経営計画や年度方針の中でしっかりとリスクと成長性を整理することが大切です。「投資によって固定費や人件費が上がった場合」など、複数のシナリオを想定して具体的な収支計画を立てることで、場当たり的ではない、地に足のついた経営判断が可能になります。

ステップ2:現場が主役となる「活きた」仕組みづくり

事業計画が整っても、現場の業務が非効率なままでは利益は生まれません。「あの人しか分からない」「昔からこのやり方だから」といった業務の属人化や曖昧さは、生産性を大きく下げる要因です。

そこで求められるのが、業務の「仕組みづくり」です。定性的なノウハウや個人の頭の中にある手順を具体化し、誰でも一定の品質で業務ができるように標準化を図ります。ただし、トップダウンで作ったルールは現場の実態と乖離しがちです。現場のメンバー自身が課題に向き合い、外部の新鮮な視点も交えながら自分たちで作る「活きた仕組み」だからこそ、納得感を持って運用され、労働時間短縮と競争力強化につながっていきます。

そして、曖昧なノウハウを整理し、言語化することで改めて組織内における業務内容の理解が促進、共有され、その活動自体が大きなノウハウ共有の場となります。

ステップ3:変化に対応できるマネジメント層の育成

計画を絵に描いた餅にせず、作られた仕組みを運用し続けるためには、現場を牽引するマネジメント層(リーダー)の存在が不可欠です。賃金改定や新しい仕組みの導入など、組織に変化が起きる時こそ、リーダーのマネジメント力が試されます。

ティーチング(教えること)だけでなく、コーチング(問いかけて引き出すこと)のアプローチを取り入れた教育により、スタッフの思考整理が進み、主体的に動くようになります。将来の幹部候補であるマネジメント層が自ら考え、行動できる組織は、どのような環境変化にも強い組織といえます。

物価高騰や人件費高騰のコスト対応というところをゴールとせず、その先の実現したい将来ビジョンを目的とした取り組みを推進できるリーダーの育成が不可欠です。若手への賃上げや教育に目が活きがちな昨今ですが、そうした若手の指導と牽引を行い、若手から尊敬されるリーダーの育成が最も重要と考えます。

今月のトピックス:前向きな挑戦を支える最新支援策

これまでお伝えしたような「生産性向上のための設備投資」や「仕組みづくり・人材育成」を推進し、賃上げ原資を確保するために、国は中小企業向けの支援策を強化しています。今月直面している環境変化の中で、有効活用できる身近なトピックスをご紹介します。

今回ご紹介する助成金は、厚生労働省管轄の助成金となっています。
申請に際しては、専門家である社会保険労務士へのご相談をお勧めいたします。

業務改善助成金

助成金の目的

事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、それに合わせて生産性向上に資する設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)や、コンサルティング導入、人材育成・教育訓練などを行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。最低賃金の引き上げへの対応として最も直接的に活用できる支援策の一つです。

利用検討のポイント

単なる機械の導入だけでなく、業務改善のための「専門家によるコンサルティング費用」や、従業員のスキルアップのための「研修・教育訓練費用」も対象となる点が大きな魅力です。自社の計画において、ハード(設備)とソフト(仕組みづくり・教育)の両面から生産性向上を図り、確実に賃上げへとつなげていく計画を策定することが重要になります。

人材開発支援助成金

助成金の目的

事業主が雇用する労働者に対し、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。従業員の能力開発やリスキリングを通じた組織全体の生産性向上を支援します。

利用検討のポイント

新規事業への進出や業務プロセスの刷新(DX推進等)、社内人材育成計画に基づく研修の実施など、企業の持続的成長に必要な「人への投資」を行う際に大きな支えとなります。助成金を上手に活用することで、教育コストを抑えながら現場リーダーや幹部候補の育成、業務標準化に向けたスキル習得を計画的に進めることができます。

まとめ

2026年10月からの岐阜県最低賃金1,121円への改定は、単なる人件費増のピンチではなく、会社全体の基盤を強化する大きなチャンスです。そのためには、「未来を見据えた事業計画の見直し」「現場が主役となる仕組みづくり」、そして「変化に対応できるマネジメント層の育成」という3つの軸を、一貫して進めることが不可欠です。

まずは、現場を支える右腕のリーダーやスタッフと、「今、現場で一番時間がかかっている業務は何か?」について、対話してみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、大きな組織改革の始まりになります。

※ 本コラムに掲載している支援策情報は2026年8月時点のものです。支援の要件や公募期間、窓口の取扱ルールは随時更新されるため、申請やご相談の際は必ず各省庁や事務局が発行する最新の公募要領・案内をご確認ください。

当社サービスの紹介

ハーツ株式会社では、企業の方向性と連動した一貫性のある「全体支援」をはじめ、企業の持続的成長に伴走する各種サービスを提供しています。

計画策定支援

中期経営計画や年度方針、新事業戦略の立案など、リスクと成長性を整理。投資対効果を含む具体的な収支計画を立案し、高度な経営判断をサポートします。社外からの客観的な視点により多面的な評価が行えるため、セカンドオピニオンとしても有用です。

人材教育(マネジメント研修・コーチング)

管理職に必要なマネジメントスキルと自分自身の幸せについて考える、各社の状況に合わせたテーラーメイド型の教育プログラムです。「楽しく学び、成長すること」を大切に、コンサルティングとコーチングによるアプローチを取り入れ、グループワークを通じて社内の関係性向上にも寄与します。自組織の環境を題材(ケーススタディ)とした実践的なシミュレーションが行える仕組みを構築しています。

  • 【基礎編】 目標と計画の策定: 1年間の活動計画を立て、組織全体で動ける体制を構築。
  • 【応用編】 計画に沿った組織の管理と成長: 組織変革に取組み、高い成果を出すスキルを磨く。
  • 【飛躍編】 組織や事業の戦略立案: 中期的な戦略手法を学び、次世代の経営幹部の土台を構築。

仕組みづくり支援

定性的な情報を具体化し、社内のノウハウの蓄積を図り、競争力を強化。「自分たちで作った仕組みでなければ運用されない」という原則のもと、現場に定着する強固な基盤を構築します。社内プロジェクト型での支援を通じて、推進担当者へのフォローなど、新たなプロジェクト推進の方法を体系的に学べる機会となっています。

短期的な研修で終わらせず、目標設定から計画管理まで、貴社の経営課題に100%特化して徹底的に長期伴走する「企業伴走パッケージ」を各種ご用意しております。ぜひお気軽にご相談ください。